取引履歴の不開示
借主が、何年何月何日に、いくらの借り入れをし、どのように返済をしたかの記録が残っていれば、過払い金の有無や、その引き直し計算をすることができる。だが、長年にわたって借り入れと返済を続けた借主の手元には、そのような記録が残っていないことが多い。取引履歴は過払い金返還訴訟における重要な証拠であり、貸金業者に取引履歴の開示を求める必要がある。
しかし、貸金業者は法令上、取引履歴の開示義務を定めた規定はないことを理由に、取引履歴の開示に応じないことも多かった。
そこで取引履歴の開示義務が認められるかについて、平成17年7月19日、「貸金業者は債務者から取引履歴の開示を求められた場合、原則として取引履歴を開示すべき義務を負い、これに反して取引履歴の開示拒否は不法行為となる」との最高裁判決が下された。さらに平成21年には、不当利得返還請求権の消滅時効は返済の時点から10年ではなく、取引終了時から10年とする判決が相次いだ。
この最高裁判決の後も、貸金業者が取引履歴の開示を拒絶、あるいは古い取引履歴を廃棄したなどとして開示に応じないことも考えられる。そのような場合、過払い金返還請求の消滅時効である取引終了時から10年以内であれば、取引履歴不開示による損害賠償も併せて請求する手段もある。ただし、この場合、どのようにして過払い金の計算をするかが大きな問題とされている。


